死を前にした時だけ
死を前にした時だけ、私たちは、この世で、
何がほうとうに必要なのかを知る。
私たちは日常、
さまざまなものを隙間なくほしがっているが、
もし明日の朝には世界中の人類が死滅する、
ということになった時には、
誰もがいっせいに、
今まで必要と信じ切っていたものの九十九パーセントが、
もはや不必要になることを知るのである。
お金、地位、名誉、そしてあらゆる品物。
すべて人間の最後の日には、
何の意味も持たなくなる。
最後の日にもあったほうがいいのは、
「最後の晩餐用」の食べ馴れた慎ましい食事と、
心を優しく感謝に満ちたものにしてくれるのに
効果があると思われる、
好きなお酒とかコーヒー、あるいは、
花や音楽くらいなものだろう。
それ以外の存在はすべていらなくなる。
その最後の瞬間に私たちの誰もにとって必要なものは、
愛だけなのである。
愛されたという記憶と愛したという実感との両方が必要だ。
IVER
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